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『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践 』について元不動産屋が書評してみた。【絶版本レビュー1】

こんにちは。

ぴーちゃんです。

 

今回は、絶版気味の『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践 』を読む機会があったので、ざっくりと内容をまとめていきたいと思います。

 

以下のような読者さんに役立ちます!

・外国人向けの不動産を検討している方

・本書の内容が気になる方

・不動産実務視点から見たこの本の有用性について知りたい方

 

 

目次

本の目次

第1章 いま、外国人向け賃貸が面白い
     ・人口減少でますます「空き家」化が進む!
     ・旅行者も外国人向け賃貸のお客さんになり得る
     ・日本で暮らす外国人たちの家事情
第2章 外国人に貸す不安はこれで解消
     ・「外国人には貸したくない」のホンネとは?
     ・家主さんを説得するにはどうするか?
     ・身元確認はパスポートと在留カードで
第3章 外国人に選んでもらえる「部屋づくり」とは?
     ・外国人が「住まい」に求めるものは?
     ・「3点ユニット&ゴク狭」物件は、外国人には「掘り出し物」?
     ・「畳の部屋あり」をウリにするのも、ひとつの手
第4章 外国人のお客さんをどう集めるか?
     ・外国人向けの宣伝には「口コミ」が強力な武器に
     ・SNSの「口コミ」で自社情報を広めてもらう
     ・入居後も考えたサポートがお客さんを引き寄せる
第5章 ここが違う! 日本と外国の賃貸ルール
     ・日本の賃貸住宅は入居条件が厳しすぎる?
     ・「礼金」を受け入れてもらう方法とは?
    ・支払い拒否になりやすい「更新料」で注意すべきこと
第6章 日本の「生活マナー」を守ってもらうには、どうするか?
     ・「ゴミ出し」のルールを守ってもらう秘策とは?
     ・明確なルールづくりが「騒音」対策には欠かせない!
     ・ご近所との「顔の見えるつきあい」がトラブルを減らすカギに
第7章 外国人向けの賃貸がつくる新しいつながり
     ・若いころの海外体験が、いまの私の仕事の原点
     ・外国人の「住まい」をサポートするビジネスをスタート
     ・外国人OKの家主さん探しで一苦労
巻末資料
    ➀ 賃貸用語の対訳集
    ② 英語での接客会話例
    ③ 各国の賃貸条件

(Amazonより引用)

あらすじ

インバウンド戦略で空き家・空室ゼロ!
著者が36年間にわたって取り組んできたビジネスの経験と、それにもとづくノウハウを取りまとめたマニュアル!
賃貸住宅管理の実務に役立つ実用書!

グローバル化による外国人移住者が激増。外国人賃貸需要が高まるなか、業界内でも先駆者として活躍の著者。注目の、不動産業界・大家さん向け賃貸ビジネス成功マニュアルです。

(Amazonより引用)

読んだきっかけ

読んだきっかけは、「今後間違いなく、少子高齢化で労働力人口が不足し、外国人に頼らざるを得ない状況がくるので、日本国内で外国人向けの賃貸マーケットは拡大するだろう」というしごく当たり前な推論によるものです。需要がさらに高まったときに資金が作れていればそうした労働者向け専用のマンションなど運営しても面白そうだなぁと思います。あとは、単純に元不動産屋として外国人にはどういったニーズがあるのか知りたかったためです。

本書内で注目したポイント

・今後需要のある①高齢者向け不動産である介護施設、②外国人労働者居住の不動産

を比較すると、②の方が運用しやすいということ。

→これはよく考えるとそうだなあと思いました。高齢化が進み、一般的な賃貸マンションが高齢者のニーズをとらえるのも大事ですが、実際は介助も必要な介護施設での運用がメインになってくるのではないかと思います。そうなると、そうした住居の貸し出しに+してサービス提供が必要な①に比べ、②での運用の方が運用しやすいのです。実際に不動産屋さんが介護事業に取り掛かり事業継続できなかった話も聞くので、意外にも障壁は大きいのでしょうか。言語については、英語が出来ればある程度幅広い外国人の方に対応できるので、こうした不動産ビジネスにおいても言語の重要性は上がっています。

 

※不動産関連の英語本で一番オススメ出来る一冊です。英日対訳形式で、不動産の概要をきっちり学びながら、かつ対応する英文に触れることで不動産理解と同時に英語力もつきます。単語は難しいですが、不動産に興味のある人や業界の人であれば比較的楽に読める一冊です。

 

・家具家電付きで外国人留学生に人気の物件に!という成功事例

→これはマーケットの盲点をつく良い戦略だと思いました。というのも、運用していた物件で購入時から全戸家具・家電付きのマンションがあり、稼働率でかなり苦しんだ物件があったからです。その物件は50戸以上で、単身赴任者の割合が高い物件でしたが、別途外国人向けの広告を臨時で作って反響があるか検証するのも良かったのかなぁと今になって思いました。ただそれにも外国人に対応できる仕組みを事前に構築する必要があるため、初期段階から準備する必要はありますね。

 

・今時は日本人に貸してもトラブルがある。だから外国人に貸すことが一概にリスクとは言えない。

→これは確かにありますね。日本人でも、失踪、夜逃げ、事故、犯罪、騒音など様々なトラブルがありました。なので一概に外国人=リスクというわけではないです。割合の問題になります。実務ベースで言うと、良エリア、高級賃貸であれば外国人リスクはかなり減るのではないかと感じます。というのも、エリアや賃料によって属性が大きく変わってくるのは明白な事実であり、それらが良い条件であれば、外国人ということだけでリスクになるということは少ないと感じました。一方で例えば安い賃料での外国人入居者では、滞納やトラブルが発生しやすい傾向にあります。そういったことも総合的に考慮しながら入居判断するのが良いのかなぁと感じます。

 

外国人向け「部屋探しのガイドブック」の存在

→これは仲介の店舗ではあると便利ですよね。1冊88円ということなので、外国の方に注力する店舗などでは重宝しますし、日本語も対訳で載っているということなので大家側の学習としても使えそうな一冊です。https://www.jpm.jp/topics/foreigners_guidebook.pdf

 

・「3点ユニット&ゴク狭」物件は、外国人には「掘り出し物」?

→これは実務ベースで感じましたね。都心の良エリアで賃料もそこそこの物件でしたが、唯一の欠点が3点ユニット。これで日本人の方には結構キャンセルされて困っていましたが、外国人の方にはデメリットにならず、結果比較的多くの外国人の方に住んでもらえる高稼働物件になっていました。このように、逆に外国人に需要のあるエリア(例:環境の良くない町とされるが外国人需要の高い川口)で、3点ユニットの安い物件を買って外国人向けに作り替えてうまく稼働できれば高利回り物件になるチャンスもありますよね。そんなことを感じました。

 

・「畳の部屋あり」をウリにするのも、ひとつの手

→これは、特に感じたことはなかったですが、日本の賃貸業界の流れとしては、基本畳は敬遠されます。築年のある物件は仕方ないとして、フローリング床が主流になってきているのは間違いないですね。ファミリー物件であれば、和室が好まれる場合もありますが、中にはあえてリノベーションをして畳を取っ払う事例もあります。あえて外国人向けにアピールするというのはありかもしれません。

 

・日本の「生活マナー」を守ってもらうには、どうするか?

→これは上で書いた3点ユニットで外国の方に反響のあった物件のことでしたが、外国人の方からの需要はありがたかったものの、特に外国人向けに生活の仕方などをアナウンスしている物件ではなかったので、土足で生活されて、退去時に床がボロボロというケースは結構ありました。これも入居時に説明してもらうなど、やり方はいくらでもありましたね。

 

・災害時のサポート

→本書で3.11での避難呼びかけの誤解により、外国人の方が亡くなるケースなどを知りました。これは地震・津波大国として早急に対策が必要な分野だと感じます。日本に来てもらう以上、こちら側も安心して使ってもらうために緊急時に言語面でのサポートは不可欠です。日本人は、外国人が日本語を覚えてもらうのが当然という考えが一部あるように感じますが、日本人も改めてしっかり英語が出来るようにする必要があると感じました。

 

まとめ

以上、簡単に内容についてまとめました。

この本が絶版でありながら高い値段がついているのは、この分野の本がまだまだ少ないという部分があるのかなと思います。現在民泊なども人気の中、外国の方への賃貸を考える方にとっては良書でした。外国人に賃貸物件を貸し出す上で考慮すべき事柄がまとまっている一冊です。

 

ではでは。